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【諦めないで】昆虫学の将来性・就職について語る【昔の自分へ】

2024年3月21日


【諦めないで】昆虫学の将来性・就職について本気で語る



こんにちは、耕平(@HEYinTW)です。

今回は「昆虫学の将来性、就職について本気で語る」と言うテーマでお話していきます。

【どんな方に向けた記事か】

・昆虫に関わる学部に進学したい高校生・大学生
・昆虫学分野に進むか迷っている方
・昆虫で食べていけるのか、就職できるのか気になる方


 

昆虫学を学びたい!将来性や就職は?

  • 昆虫が好きで学びたいけど将来が不安
  • 昆虫の道に進んだら、就職に弱くなるの?

好きなことを学びたいけど、将来のことが不安になっちゃいませんか?でも、進学する前から就職のことまで考えるなんて素晴らしい!と僕は思います。

この記事はそんな不安や葛藤に対する、緩和剤となればいいかなと思います。

昆虫学が学べる大学が気になる方は下の記事をご覧ください。

関連記事

 

結論:将来性は意外とある

この記事はちょっと長くなるので、結論を先に書いておきます。

就職先・将来性は意外とある

【重要】
ただし、ある程度の努力は必要。
方向転換も視野に入れろ。

それでは詳しく解説していきます。

 

昆虫学の可能性とは

「昆虫学」「昆虫科学」を簡単に説明すると、昆虫世界の仕組みを解明して、地球と人間の生活環境を守っていこうと言う学問です。

日本の昆虫学関連の論文数を見ても増加傾向にあり、若い研究者の研究能力は特に衰えていると言うことはないそうです。

さて、「昆虫学」といってもいろんな分野があるのはご存知ですよね。

 

昆虫学の分野

将来、就職を考える上でも役立つ事前知識として「どの分野を学ぶか」が挙げられます。

【昆虫学の分野】

  1. 文化・教育
  2. 分類・生態保護
  3. 養蜂などの昆虫産業
  4. 防虫・害虫防除
  5. 病原媒介昆虫・寄生虫学
  6. 他分野との連携
  7. 食用昆虫(昆虫食)

それではひとつずつ確認してゆきます。

 

1. 文化・教育

「文化昆虫学(Cultural entomology)」として一つの学問にもなっていますが、人の生活手段、経済、技術、科学、言語、芸術、歴史、哲学や信仰などから昆虫と人間の文化・民族的関わりを研究するフィールドです。

また、虫の一生や自然界での役割を通して教育的な側面を見出す、広めていくといった分野でもあります。

 

2. 分類・生態保護

幅広い研究分野です。

行動や遺伝情報などから生態を理解したり分類したり、おそらく僕らが幼い頃にムシ達とにらめっこしてたあれに近いですね。蟻や蜂などの社会性昆虫の生態や、環境&生体保護、生物多様性などの観点から研究する、昆虫学の基礎とも言える分野です。

データベースとして遺伝情報を保存したり、昆虫の標本を作成するところもあり上手くハマればすごく面白い分野だと思います。

 

3. 養蜂などの昆虫産業

昆虫機能利用学とも呼ばれたりします。

日本でも古くから親しまれてきたハチミツやローヤルゼリー、カイコのシルクなど昆虫由来の有用性あるものを研究します。

「養蜂」「養蚕」この2つの分野は今でも世界的に大きな産業としてウエイトを占めていますので、まだまだ伸びしろがあります。

 

4. 防虫・害虫防除

衛生面や農業におけるいわゆる害虫、または煩わしい吸血性の蚊やダニなどに対してどう対処するかに関する研究が行われています。

不衛生な地域や農業被害の大きい地域、吸血性昆虫の被害がひどい国にとってはとても重要な研究です。

 

5. 病原媒介昆虫・寄生虫学

正確には虫でない場合もありますが、危害を加える寄生虫や蚊などへの対策を中心に研究したりします。マラリアやデング熱などの昆虫媒介性病の被害は温暖化が進むに連れ拡大しているのも事実です。

この分野に就職となると、医者もしくは医療関係なのでハードルは高いですね。

 

6. 他分野との連携

昆虫の形態や生態、成分を応用して活用していこうと言う動きが各方面(工学、化学、医療など)で研究されています。

このように、昆虫の機能などを工業技術や人間生活に役立てようとすることを「昆虫ミメティクスと言います。英語だと「entomomimetics」と表記されます。
下にその例をいくつか挙げておきます。

【昆虫ミメティクスの例】

・シロアリの巣の構造を模倣した自然冷却の設備
・ガの複眼を模倣したスーパー反射フィルム
・トンボの翅を模倣したプロペラによる小型発電機
・カの口針を模倣した医療用無痛注射針
・スズメバチが生産するアミノ酸化合物由来の脂肪燃焼ドリンク
・ガンの進行を遅らせるヤママユの休眠物質
・モンシロチョウからの抗ガン物質
・ダニやサシガメなど吸血昆虫からの抗血液凝固活性物質
・ハエの蛆を用いた創傷治療 (マゴットセラピー)

引用:農学委員会 応用昆虫学分科会 昆虫科学の果たすべき役割とその推進の必要性

どこかで見たり聞いたりしたことがあるかもしれませんね。昆虫は地球上で最も種類が多いので、知られざる機能がたくさん眠っていると考えられています。

他分野との連携する研究はとても興味深いですが、農学部昆虫学領域では研究できない可能性もありますので、しっかりと事前調査をする必要があります。

このように「昆虫×〇〇」の分野を専攻することができたら、関連ベンチャー企業への就職も夢ではありません。

 

7. 食用昆虫(昆虫食)

このブログでもよく登場する、昆虫食業界です。

現在約10億円規模の昆虫食市場ですが、2030年までに80億円規模になると予想されていて、個人的にはこの分野をとてもおすすめします。

どれだけのメリットがあり、注目されているのか。詳しくは【閲覧歓迎】昆虫食のメリット・デメリットを本気で語るに書いてますので、一読の価値ありです。

また、昆虫食業界を目指すなら、昆虫学科にこだわらず食品学科栄養系の学部を目指す手もあります。昆虫食の事業拡大には、虫が持つ栄養成分や加工方法などがカギとなってくるためです。

 

昆虫学の分野7つ小まとめ

昆虫学の学べる大学

さて、ここまで計7分野を紹介しましたが、昆虫を専門に研究・就職を考えるなら「昆虫×産業」「昆虫×医療」「昆虫×食品」など、2つのフィールドを学ぶことがアドバンテージになりそうです。

現在高校生の方は、大学選びの段階からそんなに深く考える必要はありません。
と言うのも、どの大学のどの学部に入ったとしてもその大学で興味を持った分野にコミットすれば、自分の本当に学びたい分野に大学院から進学することが大いに可能だからです。

次の章でも書いていますが、昆虫学を学んでから逆に万が一「自分には研究向いていないな」と感じても途中で進路変更することができるので、今のうちから重く考えすぎないで下さいね。

 


 

昆虫に関わる職とは?

さて「昆虫学も意外と役に立つ」と言えども、実際に昆虫とがっつり関わる職業というのは限られてくるものです。

・博物館学芸員や昆虫館のスタッフ

・大学や高校教員(研究)

・昆虫ショップ店員

・昆虫食や殺虫剤企業へ入社

「昆虫のみで生きていく」と考えてしまうと、やはり難しいです。

でもやりたいと思えば、自分で道を切り開くことができます。

・昆虫系Youtuber、Vtuber(ホモサピなど、あやつじ 昆虫Channel

・昆虫を題材にした漫画(B/W 大巨蟲列島、ムシキングなど)

・ブリーダー

・栄養士として昆虫料理をプロデュース

昆虫×何か であなただけのフィールドを確立し、世間に受け入れられるようになった時、それは職業として成立します。

可能性は有限に見えて、無限大です。

 

【実は】就職先は特にこだわらなくても良い

ここまで読んで頂いてどう感じましたか?
意外と道は多いな」と思った方も「難しそう」と思った方もいるかと思います。

大学を選ぶ前からしっかり将来のことを見据えてて素晴らしいのですが、昆虫学領域を学んだからといって必ずしも昆虫業界に就職する必要はないと言うことを伝えておきます。絶対オレは昆虫業界に就職するんだ!」と言う方は、大学で努力し専門的な知識を養う必要がありますが、就職に関していえばどの学部であれ多くの道があります。

現在の日本の就職事情において、大学時代の専門が絶対条件であるところなんてほとんどありません。文系学部の子がITエンジニアに就職したり、生物系学部の子が総合職営業として働いてる例をいくらでも知っています。

もちろん本人の努力次第ですが、大学生活の間に昆虫学以外の知識をつけることも大いに可能ですよね。(アルバイトや課外活動、資格や語学など)

論より証拠。
実際に先輩方がどこに就職しているのかを見てみましょう。

 

昆虫学を学んだ人の就職先・進路

実際に、昆虫学領域を研究し、卒業した先輩方の進路を見てみましょう。
大学のホームページに載っていることもあります。

参考にした大学[昆虫学研究室HP]:北海道大学静岡大学琉球大学など

修士/博士進学、大学教員、博物館研究員、国公立農業研究機関、植物防疫所、環境アセスメント会社、NPO法人等、国家公務員、星野リゾート、日本食研、スギ薬局、フタムラ化学、アグロカネショウ、有光工業、大塚製薬、SDSバイオテック、ニッセイ、カネミ食品、JUSCO、敷島製パン、全国農業協同組合、静岡経済連、住化タケダ園芸、全日本空輸、大正製薬帝装化成、ノエビア、バイエル、プリマハム、めいらく、理研グリーン、その他民間企業

いかがでしょうか。

先輩方の卒業後の進路を見ると、食品系企業など虫と関係ないフィールドへの就職も多いですよね。昆虫が好きで、大学時代をそれにコミットしても直接就職と関係があるとは言い切れません。

要は、自分の努力や技量次第です。

 

昆虫学の将来性・就職を本気で語る:まとめ

この記事を見てくださってありがとうございます。個人的な意見としては「昆虫を学びたいなら学べばいい!」と思ってます。

入学してから昆虫の新たな可能性に気づくこともありますし、違うと思ったのだとしたら途中で方向転換しても全く遅くありません。

ここまでをまとめると以下の通りです。

昆虫学にはいろんな分野がある
昆虫学の将来性は意外とある
→ただし自分の努力次第。途中で方向転換もアリ。
必ずしも昆虫業界に就職する必要はない

 

また、昆虫学を本気で学びたいと考えているなら台湾の大学も視野に入れてみることもおすすめします。日本の大学にはない、昆虫学科がある大学があります。

 

昆虫が大好きな君へ

まとめを書いた後ですが、将来の昆虫業界を担っていくかもしれない君たちにぜひ読んで欲しい本があります。

九州大学で活躍されている丸山宗利先生の「昆虫はすごい」という本。丸山先生はメディアにも多く出演していて、個人的にも尊敬する昆虫界の神様的存在です。
この本は昆虫たちの世界を、まるでSFを見させられているかのような世界観で語り尽くされているのできっと本が苦手な君も完読できると思います。

「昆虫はすごい」んです。みなさん、自信持っていきましょう!

 

昆虫学

Posted by NIKOU