台湾の大学留学には英語・中国語どちらが必要??実際に必要な点数とは?
台湾への留学には英語・中国語両方必要なのか
こんにちは、台湾に2度留学経験のある耕平(@HEYinTW)です。
最近、旅行先としてだけではなく留学先としても人気が出始めている、台湾への大学・大学院留学についてお話しします。
「台湾の大学・大学院に進学したいけど英語(中国語)しか出来ない…大丈夫…?」
「留学に必要な語学力って、どのくらいなの?」
今回は、そういった主に語学力についての疑問にお答えしていきたいと思います。
全英語コースと中国語コース
台湾の大学・大学院に進学したい!と思っている方はまず、各大学各学部の語学力の条件をチェックする必要があります。
台湾の大学では大きく分けて4つの条件を課されることがほとんどです。
※コース=学部または学科と思っていただいて構いません。
① 一定の英語力のみが問われる学部・学科
② 一定の中国語力のみが問われる学部・学科
③ 一定の英語力または中国語力どちらかが問われる学部・学科
④ 一定の英語力及び中国語力両方が問われる学部・学科
例えばあなたが高校卒業後、英語力のみで農学部に進学したいと思ったら、その条件で入学できる大学を探さなければならない。ということです。
一般的に、どの大学においても修士・博士の方が語学要件が高いです。
さて、まずは全英語コースから説明してゆきます。
全英語コースとは
全英語コースとは一般的に先ほど挙げた条件のうち、①に当てはまります。
学士・修士・博士いずれも開かれていますが、理系文系を問わず修士以降の方が圧倒的に多いです。
申請できる学部
学士に進学する場合、選択肢は少ないです。
大学院の場合、英語コースは意外と多いです。
台湾大学や政治大学など大きな大学のMBAを筆頭に、多くの学部が採用しているみたいです。
詳しくは各大学のHPから確認してみましょう。
必要な語学力は?
全英語コースなのでもちろん英語力がある程度ないと合格できません。入学してからも授業は一部を除き全て英語なので、全て自分の英語力・理解力との戦いになります。
そして必要な英語力も学校や学部、そして学士なのか修士なのかによって全然違ってきます。
では、上記①をいくつか例を挙げてご紹介します。
① 一定の英語力のみが問われる学部・学科
台湾大学
・工學院 土木工程學系(学士)
CEFR 高階級(B2)相当以上の英語能力証明
・理學院 化學系(修士・博士)
CEFR 流利級(C1)相当以上の英語能力証明
・生物資源暨農學院 生物科技研究所(修士・博士)
英語能力証明 (レベルは指定しない)
※台湾大学は語学力証明に関してCEFRという国際基準を採用しています。
詳しくは以下の手順でご確認ください。
(109 學年度 ( 2020/2021 ) 系所申請規定及招生名額一覽表→土木工程學系(全英語專班)の横の赤い文字をクリック→表内の(請參考英文主要檢測對照表)をクリック)
政治大学
・International MBA
英語能力証明の提出
中興大学
・農業暨自然資源學院 生物科技學所研究所
TOEFL ITP/IBT: 500/61
IELTS: 5.0
TOEIC: 670
又はその他相当レベルの証明書
外国の先生が駐在している学部、国際系や英語系の学部は英語課程を導入しているようです。MBAは英語能力そのものは問わないものの、2年以上の就労経験や場合によっては面接が必要など他の条件が必須なようです。
また英語能力を問わない学部もありますが、英語能力が授業や課題をこなすのに必要十分以上ないと判断されれば足切りされる可能性は大いにあります。
中国語は必要?
さて、全英語コースに申請・進学する場合、上記の例を見てわかるように英語能力さえあればOKです。しかし、全く不必要かというとそういうわけにもいかなさそうです。
僕の意見は「生活に支障あり」です。
結論から言うと、会話ができる程度の中国語を身につけることは台湾生活を豊かにするために不可欠です。
というのも「台湾で生活するから」です。
台湾人が英語が喋れないというわけではありません。外食文化の台湾では、3食を外で済まします。メニューもほとんど中国語だし、年配の方は英語がわからないのでコミュニケーションに苦労する場面が必ず出てきます。
環境など
全英語コースの場合、周りはほとんど外国人です。
イベントなどに積極的参加しない限り、台湾人よりも他の国の人と関わる機会の方が多いでしょう。
「言葉の壁」という大きなハンデがあるので、信頼できる友達を作るのには時間がかかると思います。結局は同じ国同士で固まってしまう、そんな事象が起こります。
いくつか、僕が見かけた体験談を綴った記事を紹介しておきますので、参考にしてみてください。
全英語コースに申請する際の留意点まとめ
- 学士、修士、博士課程に関わらず英語のみで進学できる学校はある。
- 申請に必要な英語力は各学校・学科によって異なるので要確認。
- 申請・授業の際に中国語は必要ないが、満足に生活する上でほぼ不可欠。
中国語コースとは
実は中国語コースに明確な区別はなく、微妙な学部もあります。
先ほど挙げた条件でいうと、②③④に当たります。
申請できる学部
まぁつまるところが、外国人受け入れをしている全英語コース以外の学部学科全てです。
「全英語コースでない」をひっくり返せば「中国語が必要なコース」となるわけです。
必要な語学力は?
こちらも学校、そして学部学科によって全く違います。傾向として、(学力的に)良い大学ほどより良い語学力が求められます。
実際に上記②③④の例を挙げて見ていきます。
② 一定の中国語力のみが問われる学部・学科
台湾大学
・文學院 歷史學系(修士・博士)
CEFR 流利級(C1)相当以上の中国語能力証明
※台湾大学は語学力証明に関してCEFRという独自の採用基準を採用しています。
詳しくは上記①の例をご確認ください。
政治大学
・文學院 中國文學系
華語文能力試験(TOCFL)流利級(5級)証明書または相当レベルのその他中国語能力証明
歴史や外国語の学部は中国語が必須となっているところが多いようです。
文献や授業は全て中国語ですので、語学要件も他の学部と比較して高く設定されています。
③ 一定の英語力または中国語力どちらかが問われる学部・学科
宜蘭大学(修士)
華語文能力測驗(TOCFL,原TOP)3級(進階級,原初相当級)以上の中国語能力証明
または
中学以上の学校/教育機構で華語修課成績表/修了証明書の取得
または
各学部・学科所定の英語能力検定成績証明
参照:宜蘭大學 International Students Admissions
中興大学
・農業暨自然資源學院 園藝學系
華語文能力測驗(TOCFL):Level 3 進階級
漢語水平考試(HSK):5級
その他関連する中国語能力証明書
または
TOEFL ITP/IBT: 500/61
IELTS: 5.0
TOEIC: 670
又はその他相当レベルの証明書
英語・中国語どちらかの要件をクリアしていれば申請が可能です。
スコア的にはどちらもそんなに高くないので、大学側が外国人を歓迎しているんだと想像できますね。
④ 一定の英語力及び中国語力両方が問われる学部・学科
台湾大学
・管理學院 會計學系(学士)
CEFR 高階級(B2)相当以上の中国語能力証明
及び
CEFR 高階級(B2)相当以上の英語能力証明
・文學院 人類學系
CEFR 進階級(B1)相当以上の中国語能力証明
及び
CEFR 高階級(B2)相当以上の英語能力証明
※台湾大学は語学力証明に関してCEFRという国際基準を採用しています。
詳しくは上記①の例をご確認ください。
例では台湾大学を挙げましたが、感覚的に英語・中国語両方の能力証明を求めてくる学校、学部が一番多い気がします。英語で授業を行わないマイナー学部は特にその傾向があるっぽいです。
要するに、大部分の学校は両方できないと付いていくのが厳しいよと提示しているのでしょう。
中国語能力証明に使われる、TOCFLについては以下の記事を参考にして下さい。
英語は必要?
ここまで読んでもらえばなんとなく分かると思うんですが「② 一定の中国語力のみが問われる学部・学科」を除いて、中国語コースでも英語は不可欠です。
③④において学士に進学する方は、周りの学生の英語レベルもまだ低いので一緒に学んでいけば問題ないと思います。
修士以上に進学する方は間違いなく英語が必要です。
授業の資料や論文、同期とのコミュニケーション、調べ物に嫌でも英語を使います(日本と同様)
環境など
①の条件の場合、いくら中国語が得意といえども言語能力の差は明らかなので、ネイティブと留学生は教室を分けて授業することがあるそうです。
③④の条件かつ、人気の学部であれば、台湾人(華僑含む)と外国人が混在していることでしょう。外国人の語学レベルはバラバラで、両言語出来る学生もいれば英語の方が得意な学生もいます。
③の条件を見て「英語だけでもいろんな学部に入れるじゃん!」と思った方、その通りです。英語力が一定以上あれば入れる学部はあります。
ただし、上記②③④全てに共通することは、授業はほとんど中国語で行われるということです。
僕の周りの日本人は、授業はまるで聞き取れないので毎日予習復習の繰り返しで、授業中も教科書ばかり見ている。と言っていました。
実際僕も、修士課程でキツイ思いをしました。
中国語が堪能であれば、現地の交友関係はまるで問題ないし、授業や宿題もこなしていけると思います。自分の能力も考慮しつつ、選ぶと良いと思います。
中国語コースに申請する際の留意点まとめ
中国語のみで申請・入学はできる学部はある。
ただし、英・中両方において申請要件の語学レベルに達していたとしても、実際の学校生活でネイティブについていくためにはもっと上のレベルが必要。
結論
英語または中国語のみでも台湾の大学(院)に行ける
ただし、ついていけるかどうかは別問題
ということになりました。
今回は台湾の大学・大学院を選ぶ際にカギとなる語学要件についてお話ししました。大学・学部を選ぶ際の一つの指標にしてください。
そして忘れてはいけないのが語学力証明は大学に申請する際の書類のひとつでしかない、ということです。大学・大学院に申請する際には自伝、学習計画書や推薦状などを別で用意する必要があり、その全てを総合して採用が決定されます。
結局は、語学力よりもやる気や専門力が大事だということです。
台湾の大学/院に進むことを考えているなら、大学&奨学金申請〜入学、お役立ち情報をまとめたロードマップ記事がありますので、参考にしてくださいね。