研究計画書の書き方|海外大学院や奨学金に必要【理系/例文あり】
海外大学院や奨学金申請に必要な「研究計画書」の書き方
こんにちは、耕平(@HEYinTW)です。
研究計画書は「学習計画書」とも呼ばれたりします。
当時僕が知りたかった研究計画の書き方とコツについてお教えします。例文も書きました。内容は理系寄りですが、文系の方も参考になると思います。
以下が実際に書いた研究計画で得た成果です!
- 申請した海外大学院2校合格
- その大学の奨学金制度優秀ランク奨学金内定
- 国外機関の給付型奨学金制度合格(2年で約250万円)
文章を書くのがニガテな人にも書きやすい方法なので、ぜひ参考にしてみてください。最後に翻訳が必要な方へのアドバイスもありますのでご覧ください。
研究計画書で要求されること
まず、研究計画を書く際に意識してほしいことがあります。
この「研究計画書」「学習計画書」で要求されているものは
- 志望動機
- 研究の内容と計画
- 卒業後の展望とキャリア
の3つです。
そして志望動機に、相手が知りたい大切な要素
- 何故そこで学びたいのか
を含めます。
大学や機関によってもフォーマットや必要文字数が変わってきますが、この3点を含んでいればどんな形式でもしっかりとした内容に仕上がります。あとは細かいところを補足しつつ、肉付けしていきます。
国内機関の奨学金申請の場合はなぜその分野なのかを掘り下げるといいと思います。
アウトライン(段落)を決める
こんな感じで構成していきます。
- タイトル
- 概要・前書き
- 志望動機
- 今までの研究
- 研究計画
- 将来計画
- 参考文献
前提条件として「今までの研究」と関連性があることが望ましいですが、していない人や新分野へ進学する方もいらっしゃると思いますので絶対ではないです。奨学金申請や大学院への入学ということで、より論理的で具体的な内容に仕上げることが大事です。
ネットで研究計画書の書き方についてすでに調べている方はこう思うでしょう。
あれ、僕の調べた書き方と違う!!
他の記事を参考にすると、だいたいこんな流れだと思います。
- 研究テーマ
- 研究の概要と目的
- 研究内容
- 研究の進め方
- 結果から期待される成果
- 参考文献
この内容も、もちろんこの書き方に含めています。
イメージとしてはこんな感じ。
しかし、思い立って大学院入学を決めたような僕みたいな人間には「具体的に研究の進め方を書け」と言われても困ります。
海外の院に入学する際には、+αの要素も必要なので、その辺をまとめた書き方を採用します。
この方法で書けば、伝えたいことをしっかり伝えられると思いますので、卒業からしばらく経つ方や文章を書くのに自信がない方はぜひ参考にしてみてください。
研究計画書を書くときの手順(例文あり)
それではまず、書くときのコツを手順を追ってお教えします。
先ほども述べたように研究計画書に含めるべき内容は、
- 志望動機(なぜそこで学びたいのかを含める)
- 研究の内容、計画(何を、どうやって)
- 卒業(入学)後の展望、キャリア
この3つです。この3つの要素を上手く繋げます。
手順1. テーマを決める
まずはどんな研究をしたいかを決める必要があります。
これが決まっていないと書き出せません。
具体的であればあるほど良いですが、志望する大学にそのテーマの分野の先生が在籍しているかやその研究ができる設備があるかを確認しておかなければなりません。
手順2. そのテーマを選んだ理由を考える
研究テーマを選んだ理由を「考える」というのもおかしな話ですが、つまりは上記のような感じで自分の経験や背景と研究する分野の概要から、こんなテーマに興味を持って研究したいと思い、将来はこんなことをやりたい、とストーリーを組み立てろということです。
2. テーマの決定を先に考え、後からストーリーを考えようと言うことです。
テーマから逆算して「自分の経験・背景」と「研究する分野の背景」を考えて書いてみましょう。
手順3. ストーリーの内容に肉付けしていく
この肉付け作業が研究計画の大半を占めます。
先ほどなんとなく考えたストーリーを具体的にしていく作業です。ここは結構複雑なので、例を挙げて説明しますね。
台湾の大学院を目指すために漢方に関わる研究をしたいと考えていて
(例)漢方由来の成分が食中毒原因菌に与える効果の探索や、メカニズムの解析
というテーマで研究したいと仮定しましょう。
1. 自分の経験・背景(→テーマから逆算)
私は小さい頃から、看護師をしている母の影響で、「人」と「生命」について関心があった。小学生の頃は、課題研究でメダカの生態について行動記録を取り表彰されたり、小さなリニアモーターカーのモデルを友達と作ったりと理科に関する探求意欲は自他共に認めていた。その後細胞や微生物などのミクロの世界に魅せられ、大学は生命科学を専攻した。大学時代、細胞や微生物の多くを学んだが、特に食中毒の原因菌について興味を持った。また、漢方を学ぶ台湾人との出会いがきっかけで漢方の奥深さを知り、卒業研究では漢方由来成分が細菌に及ぼす作用について研究した…
霊芝や当帰など漢方に関する造詣を一層深めるために、漢方成分の研究に力を入れている貴校で研究したいと思い…
テーマが「漢方」と「食中毒」に関係しているので、この分野に興味を持ったきっかけ、それに関連する自分の経歴、そしてなぜ台湾なのか(なぜそこで学びたいのか)を書いています。
人と生命に関心 → 昔の経験 → 大学の専攻 → テーマ選択のきっかけ → 台湾で学ぶ動機
と言うストーリーを後から考えたと言うことになります。
2. 研究する分野の概要(→テーマから逆算)
東方医学の歴史は4000年前の中国に遡る。7世紀頃に日本に伝わり、「漢方」として発達した。数千年もの期間で、その安全性と薬効が確認されており、経験と統計に基づいた立派な医学と言える。しかし現代になっても、その漢方の機能メカニズムの多くはまだ科学的に証明されていない…
食中毒には原因となる菌が食品中で繁殖し、それを口にすることで引き起こる。食中毒の治療には、症状の経過と共に水分や栄養を補給するか、抗生剤の治療が一般的だ。一方、原因菌に直接作用する天然成分の報告は少ない…
いわゆる概要とか前書きの部分になります。
上記では「漢方」と「食中毒」についての歴史や知見について述べ、自分の選んだテーマ領域はまだ十分に研究されていないことを説明します。つまり「だから研究したい」と繋げることができます。
もしここで参考にできる文献や論文があれば、そこから引っ張ってくると良いです。
3. テーマ決定
漢方由来の成分が食中毒原因菌に与える効果の探索や、メカニズムの解析
最初に決めたテーマです。
4. 将来の計画
研究した経験をもとに、食中毒にかかってしまったとしても天然由来成分の摂取で症状を軽くできる可能性を主張したい。同時に、漢方の素晴らしさも周りに伝えていきたい。卒業後は製薬会社に従事して、営業として習得した知識と中国語や英語を生かして活躍したい…
ここは比較的自由に書いてもいいでしょう。
別に実際に本気で目指していることを書かなくても良いので、自分の勉強・研究するテーマに関連している分野で、将来どうしたいかを書けばOKです。とはいえ、明らかに不可能なことは書いてはいけません。
こんな感じでテーマを決めてからそれに関連するその分野に関する歴史や背景と、自分の経歴・背景を足していき、ストーリー仕立てにしてみましょう。
ここはいくらでも肉付けできると思いますので、とりあえず書けるだけ書きましょう。
全て書き終えた後に、文字数と相談して必要な情報だけを残せば良いです。
手順4. 研究の計画(方法、背景、参考文献)
ここが研究計画書における山場です。
書き方の例を記すことは出来ますが、内容については各々が頭をひねって考えなければなりません。研究テーマを考えたら、その研究の背景、進め方、方法(理系であれば実験手順も)、結果から予想される成果、そして参考文献を記さなければなりません。
1番時間がかかる場所なので、よく調べて書きましょう。
私は指導教授のもとで、「食中毒原因菌に対して有効な漢方成分の探索および作用メカニズムの解析」の研究に携わりたい。台湾を含め、世界中で多くの症例が確認されている食中毒の原因菌、カンピロバクターの機能低下に対して、〇〇という生薬由来成分が有効だという報告がある(1)。また、数十種の薬用植物がヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗菌性を調査した結果〇〇だという報告がされている(2)…。
そこで、私は以下の方法でカンピロバクターやセレウス菌などの食中毒原因菌に抗菌作用を示す漢方由来成分を探索したい。
- …
- …
- …
また、in vitro試験の後はマウスなどを対象にin vivo試験を行い、有用性の確認を行いたい…
この研究により食中毒の治療に…、また食品中に〇〇を含ませることによって予防効果も…。
ちょっとサボりましたが、こんな感じで上記アウトラインに沿って書いています。
大学の卒業論文を書いた方は、思い出しながら書いてみましょう。
文章中の(1)(2)は参考文献です。
ページの1番最後に参考した論文などを載せます。論文検索サイトなどから関連する論文を見つけましょう。
修士に申請の方は合計で5~10個くらい参考してれば十分だと思います。
・Google scholar:Googleの力で莫大な量の学術論文の検索ができる
・PubMed:アメリカのNCBIのデータベース。学校でもよく使う
・CiNii Article:日本国内の論文を検索できるサイト
さて、これで必要な要素はほとんど揃いました。
あとは実際にアウトラインに沿って要素をつなげていくだけです。
研究計画書の書き方まとめ
では、上記の通りにまとめていきましょう。
タイトル
ここに研究テーマを書くのも良いですが、この書き方では研究テーマを研究計画の段落に持ってくるのでここでは「研究計画書」や「学習計画書」などと書けば良いです。英語なら「Study plan」中国語なら「研究計畫」とかでしょうか。
最終学歴と氏名も書いておきましょう。
概要・前書き
ここに先ほど書いておいた要素「研究する分野の概要」を書きます。
志望動機
ここに「自分の経験・背景」を書きます。大事な要素である「なぜそこで学びたいのか」を必ず含めて書いてください。
日本の奨学金申請の場合は「なぜその分野を学びたいのか」を意識すると良いです。
今までの研究
ここには大学時代、ゼミや研究室で研究していたテーマと研究方法、内容を書きます。
書いたことがある方が大半だと思うので、それをそのまま書けば良いと思います。文字数と相談して要点だけを書くなどの調整は必要です。
もちろん、参考文献を添えるのを忘れないでください。
以前に研究をしていなかった方は、この段落は飛ばしましょう。
研究計画
ここには先ほどの「研究計画」を書けばOKです。
将来計画
ここに先ほどの「将来の計画」を書きます。
「なぜそこで学びたいのか」に対応する「学んだ後の計画」を書くと良いです。
参考文献
最後に「研究する分野の概要」「研究計画」で参考にした論文や文献を番号順に並べて書きます。書き方は下のサイトを確認してください。
・日本語:参考文献の書き方
これで初めに考えた全ての要素を入れることができました。
研究計画書の文章を翻訳したい
書き終わったら、訳さなければならない方も多いと思います。おそらく、大半の方はすでに心が折れているんじゃないでしょうか。
相手が主に見るのは内容で、文章の英語/中国語力は多少は大目に見てくれると思いますので完璧にこだわる必要はないと思います。それでもやはり時間もかかるし不安もある場合はココナラ というサイトで翻訳自体を任せてしまうという方法をお勧めします。胡散臭いと思うかもしれませんが、信頼できる理由もしっかりあります。
人生のかかった進路選び。推薦状と研究計画で9割が決まると考えれば、万が一に備えておくことは賢い選択です。まずは受かることが先決ですよね...。翻訳作業がある方はぜひ研究計画書の英語訳は任せた方がいい理由4つ【9割が決まる】をご覧ください。
なぜ任せた方が良いのかと、頼むべき翻訳者の選び方について説明しています。
研究計画書の書き方まとめ
以上をまとめてやることを整理すると...
研究計画書に必要な要素は3つ
- 志望動機
- 研究の内容、計画
- 卒業(入学)後の展望、キャリア
志望動機には「なぜそこで学びたいか」
研究の内容、計画には「何を、どうやって」
卒業(入学)後の展望・キャリアには「学んだ後の計画」
を意識して書く。
書くときの手順
- テーマを決める
- そのテーマを選んだ理由を考え、ストーリーを組み立てる
- ストーリーの内容に肉付けしていく
- 研究の計画を書く
- まとめる
- 確認(翻訳)
となります。
最後に文章の繋ぎがおかしくないか、確認。そして翻訳しましょう。
時間の節約をしたい方は、ココナラ というサイトで翻訳してくれる方を探してみましょう。
裏ワザ
「それってどうなの?」
と思われるかもしれませんが、合格を確実にするために少数の方が行なっている「裏ワザ」があります。
研究計画書の作成自体を任せてしまう
という荒技です。
ココナラというサイトでは有名大学卒で指導実績もある方が大学院入試の研究計画を代筆+指導してくれるサービスがあります。価格は少しお高めですが、ほぼ1から作成してくださるのでラクができるというわけです。学校にはバレることはないし「大学院」という人生の1ページをお金で買えてしまうのは心強いですね。
- 受験校の名前
- 受験方法
- 提出日
- 受験内容
を伝えておけばあとは数回やりとりをして完成!です。
実際に依頼した方も良い評価をつけていることから信頼できるサービスだということが伺えますね。
・文系大学院入試の研究計画書・志望理由書を作成します (Education LABOさん)
計画書は自分で書くよ!という方には添削+アドバイスのサービスを利用するのも良いかもしれません。
・文系大学院入試、研究計画書添削します (ネット上でコンシェルジュさん)
・大学編入・大学院の志望理由書、研究計画書添削します (大学編入・大学院受験センターさん)
最後に
研究計画書は海外の大学や奨学金等の機関に申請する際に必ずと言っていいほど要求され、読み手としても、1番重視する書類です。主観だと、合格審査時には研究計画書・推薦状で9割が決まると思っています。
事前リサーチや専門用語の多用、まとめる作業、そして翻訳など、時間は相当かかると思います。それほど大事な書類ということなので、余裕を持ってしっかりと準備することをお勧めします。
その他の書類もしっかり用意しましょう!