台湾への正規留学(進学)のメリットとデメリットを経験者が解説
こんにちは、台湾へ2回留学経験のある耕平(@HEYinTW)です。
今回は
・台湾の大学/院へ進学するメリット・デメリット
・申請にどんなステップを踏めば良いか
を大学時代・大学院で台湾に留学している僕が解説していきたいと思います。僕についてはプロフィールをご覧ください。
台湾に正規留学するメリット
・学費が安い
・給付型奨学金制度がある
・地理的に近い
・中国語が学べる(※環境によっては英語)
・馴染みやすい生活環境
・日本のものが手に入る
・国際的視野が広がる
・台湾大学進学予備校がある
・日本人は何かと有利
この記事を見てくださっている方は現在、高校生、大学生または社会人で何かをキッカケに台湾や他の国への進学を考えている方だと思います。どんな境遇であれ、このメリットは当てはまります。
ひとつずつ詳しく解説していきますね。
学費が安い
台湾の教育費は基本的に日本より安く、大学・大学院でも同じことが言えます。
外国人は現地人の約2倍の学費を払わなければいけないところが多いのですが、それでも安いです。
日本と台湾の学費の比較を見てみましょう。
日本の学費との比較
※【日本】アパート都内8万、その他5万(寮1~3万)・光熱費1万・食費3万・通信費約1万・雑費3万/月で計算
※【台湾】アパート6000元(寮2000元)・光熱費500元・食費6000元・通信費400元・雑費は日本と同じ/月で計算(単位は円に変換)
上記表は、日本の国公立・私立と台湾の大学の大学4年間にかかる費用をまとめたものです(円表示)。
注目して欲しいのは、学費だけでなくその他必要不可欠な費用も安いということです。
海外の大学との比較
たとえばアメリカの公立大学の学費は年間300~500万円と超高いです。私立だと500~600万もザラにあります。同じアジア圏、シンガポールの国立大学だと年間140~200万円と、日本より少し高めの学費となっているようです。
こう見ると、学費が安いという点だけで見ても台湾の大学に進学する価値は相当あると言えます。基本的に生活費が日本より安いので、結果的に親孝行につながるかもしれませんね。
また、この他充実した奨学金に申請することもできます。
給付型奨学金制度がある
日本では「奨学金」と聞くと、返済しなければならないものだという認識があるかと思います。しかし台湾含め海外では、給付型奨学金が一般的です。
多くの留学生がもらっている奨学金制度が2つあります。
大学独自の奨学金
通っている大学が留学生に対して給付する奨学金です。申請時に「奨学金制度に申し込む」にチェックを入れるだけで、審査してくれます。
大学の奨学金にはいくつかランクがあり、申請時の書類や学校の成績で一年ごとに更新・決定されます。
参考までに、僕が通っている中興大学の例を挙げておきます。(1元≒3.6円)
・毎月6000/8000/10000元の給付
または/かつ
・学費半額/全額免除
これを受け取れるだけでも、相当助かりますよね。
台湾奨学金
台湾政府教育部が主催する、台湾の大学/院正規生に向けた給付型奨学金です。こちらは入学前にきちんと用意する必要があり、受け取れるのは毎年数十名のみとなっています。
申請が通ると
学部:学費及び雑費:1学期40,000元以內
生活費:月額15,000元修士・博士課程:学費及び雑費:1学期40,000元以內
生活費:月額20,000元引用:台湾奨学金
という超大盤振る舞いなので、申請する価値はあります。
ちなみに僕も受け取っていて、当時の苦労を踏まえて大学院申請~奨学金など、コツや書類の書き方などを全て解説したロードマップ記事がありますので参考にしてくださいね。
どちらも魅力的な制度ですが、学業成績によって次学期の奨学金が受け取れるか確定するので学業は怠らないように。という注意点はあります。
地理的に近い
意外と盲点であるこのメリット。
距離が近いということは、帰りたい時に帰れるということですね。(パンデミックでもおきない限り…)
身内になにか起こったりしても、次の日には駆けつけることも可能です。
最近は格安航空券(LCC)も活発で、各地の空港から1~3万円で往復できたりするのでその他諸外国と比べると利便性は圧倒的に高いですね。また、長期休みに家族や友人を台湾に招くこともできます。
たとえ短い休みでも距離が近いので遊べる時間が多く取れるのが魅力ですね。
中国語が学べる(※環境によっては英語)
これはよく言われることですが、ぶっちゃけ個人次第なところがあります。
普通に学校生活を送るには、とりあえず中国語は必須です。
中国語の重要性
台湾では教科書で習う「簡体字」ではなく「繁体字」を使用します。発音も、北京語と比べると明確な違いがあります。ここは好き好きですが、中国語を学べることに変わりはありません。
中国語を母国語または第二言語とする話者は10億人を超えていて、英語(8億4000万人)、スペイン語(5億7000万人)と続きます。(参照:Ethnologue)
中国語圏の経済成長がめざましいという背景から、日本でも中国語を話せる人材が必要とされているのも事実です。
つまり、中国語を習得できれば
- 理論的に10億人と会話ができる
- スキルとして就職などで有利に働く
というアドバンテージがあります。
英語を学べる過程もある
よく「台湾で英語留学!」「台湾留学では中国語と英語、両方学べる!」という謳い文句がありますね。
ぶっちゃけ、そんな美味しい話はありません。
英語過程で学べる学部はありますが、英語圏じゃないので授業以外で英語を使う機会はほとんどないし、台湾で数年間住むのなら生活する上で中国語は不可欠です。
とりあえず、語学上の問題は本人次第で、どちらも本気で学ばないと上達しません。あたりまえですが。中国語/英語過程についてはこちらの記事をご覧ください。
馴染みやすい生活環境
留学するということは、現地の生活に馴染まなければやっていけませんよね。欧米だと、文化が違いすぎて慣れなかったり、疲れるという話はよく聞きます。
その点、台湾は日本と似ているところが多いので、馴染みやすいと言われます。
文化や食べ物
文化に関しては、細かい違いはあるもののカルチャーショックを受けるほど異なることは少ないです。50年間日本の統治下にあり、ポップカルチャーが流入したことによる影響もあり日本に好感を抱いている人も多く、日本人的な振る舞いもよく見られます。
食文化は色々異なりますが、日本食も多くたくさんの選択肢があるので食べれないものがあっても特に困ることはないと思います。お金さえ出せば、日本と同じクオリティのご飯を食べることができます。
パクチーや八角などを使った料理は苦手な方もいますが、別に選んで食べれば問題ない話です。
台湾人の性格
台湾人の性格は日本人ととても似ています。
また、歓迎する文化が強いので状況によってはおもてなしされすぎる事もあるかと思います。
日本人より直接的で、大雑把だとは思いますが友達を作る上ではあまり関係ないので、気にしなくて良い点だと思います。
日本のものが手に入る
おそらくコレが台湾留学の1番の強みだと思います。日本のものがどの国よりも簡単に手に入ります。
モノやサービスに限らず、ある程度のものは揃えることができるのでわざわざ「絶対に日本から持っていかないといけない!」「急遽必要なのに現地には売ってない!」ということが本当に少ないです。
上記画像にあるように「紀伊国屋」では日本語の雑誌や漫画が買えたり、「大創(ダイソー)」や「東急ハンズ」はほぼ日本と変わらない品揃えで、日本のものしか売っていません。
もちろん値段は少し高くなる(1.5~2倍くらい)かもしれませんが、取り寄せるより全然便利です。
国際的視野が広がる
「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるように、その土地の文化を学び尊重することも留学の醍醐味ですね。
僕がそうであったように価値観というものは大学時代をどう過ごすか、何をしたかで形づけられるケースが多く、国際感覚を持つことで視野が広がり、物事を多面的に捉える力が養われるので人生においてはプラスに繋がるのは確実です。
交換留学よりもずっと濃い
数ヶ月~1年間の交換留学や短期留学はどちらかというと「語学力UP」や「海外居住体験」にウエイトを置いていて、短期間で友達作りをしないといけないので不完全燃焼で終わってしまいます。
大学or大学院への正規留学なら「専門力」も養うことができ、一生の友達もできます。
きっと、第二の故郷が台湾だと胸を張って言える日が来ると思います。
同じ境遇の外国人留学生
同じく台湾に留学しにくる諸外国の留学生も、あなたにとって貴重な存在になると思います。慣れない土地で、同じように苦労している彼らの存在は辛いことがあった時の支えにもなると思います。
国や人種、性別を超えて分かり合える仲間がいるということは、普通の人がなかなか経験できることではなく、必ず自分の価値観を形作る1つの財産にもなるでしょう。
台湾大学進学予備校がある
年々、台湾へ進学する日本人は増えています。
その多くは台湾大学進学予備校出身の人が多く、高校時代もしくは卒業後に予備校に通い台湾の大学進学を目指します。
そのために必要な情報や書類の準備、中国語の学習などを中心に行い、台湾の大学へ送り出してくれる専門的機関のような場所です。
この予備校のすごいところは、高校卒業時期から大学入学(9月)までの間で集中的に基礎を固める授業制度を導入しているところです。つまり、センター試験に失敗しても大学申請期間(3月)までに受講できたら、その流れで「半年後に台湾の大学進学!」というのも夢ではないんです。
この予備校の存在が、台湾留学が最近注目されている理由です。
日本人は何かと有利
最後に、日本人は何かと有利だという話をしておきます。
先ほど台湾では日本のポップカルチャーや食文化も浸透しているとお話ししましたが、基本的に日本人に友好的な人が多いです。
日本語を学習してる人も多く、環境によってはとても優遇されます。
また、文化が近いという面でも距離が近いという面でも、日本人は環境的に恵まれていると言えます。中国語も漢字圏の僕らは取っ組みやすい言語ですよね。学部生であれば、春と夏の長期休暇に実家に帰る人が大半なのでその際にお土産なんかを買って戻れば喜ばれること間違いなしでしょう。
台湾に正規留学する上でのデメリット
少なからず、デメリットもあります。
予備校や留学センターが語らない「経験者が語るホンネ」の部分を知っておくことも大切だと思います。
・外食文化
・学生時代の友達と会いにくい
・慣れるまでは辛抱
外食文化
部屋にキッチンがない
日本だと食費を抑えるために、部屋のキッチンで自炊することもあると思います。自分の好きな食材で好きな量作れるのもメリットですね。
ところが台湾は真逆で、自炊はほぼ趣味。キッチン付きの部屋を選ぼうもんならポーンと値が上がります。
外食の方が安く済むので、3食外食は普通です。
栄養管理がしにくい
自炊もできないし、生活圏が限られているので栄養価を気にして食事をするのは極めて難しいです。また台湾の食事は脂っぽいものが多く、普通に過ごしていても質の悪い脂を過剰に摂取していることになります。
意識的に野菜を摂ろうとすると食費が高くなるのも事実ですので、食管理が難しいのはデメリットかと思います。
学生時代の友達と会いにくい
ずっと仲の良い友達と物理的に会いづらくなりますね。
台湾に限らず、留学するということはそういうことなので覚悟は必要です。
コレに関してはぶっちゃけ、SNSなどで繋がっているので大きな障害はないかなというのが僕の意見です。仲の良い子とはLINEも電話もするし、学部生であれば長期休暇まるまる帰省出来ますからね。
でもやっぱり、突発的に会いたいと思うことはあるんですよね。そういう時に会えないのは少しデメリットといったところでしょう。
慣れるまでは辛抱
日常生活
初めのうちは慣れないこと、馴染めないことがたくさん出てきます。
僕は初めて台湾に留学した2週間くらいの間、環境の変化からくるストレスで舌が真っ黄色になり、トイレがものすごく近くなった経験があります。バイクも怖いし、レストランでの注文も怖かったのですが、だんだん慣れます。
これにはどうしても時間が必要なのです。
学校生活
授業はもちろん、クラスメイトや先生とのコミュニケーションが不可欠ですよね。
初めの頃は、授業は20%程しか聞き取れないし、中国語と英語ごちゃまぜで話していた時期もありました。
当時は悔しいし、辛い思いもありましたが半年経ったあたりから徐々に聞き取れるようになり、馴染めるようになりました。最初は不慣れで辛いこともあるかとは思いますが、それでもなんとか食らいついていれば慣れることでもありますので、辛抱は必要です。
それでも毎日刺激的で楽しかったという記憶はずっと残っています。
台湾へ正規留学する際のメリット・デメリットまとめ
長くなりましたが、台湾へ正規留学するメリット・デメリットを経験者目線からまとめてみました。
これを機に、台湾留学(進学)を考えている方がいたら、まずは先ほど紹介した台湾大学進学予備校を考えてみるのもアリだと思います。
また僕のように、1~10まで全て自分で用意しても合格&奨学金受給は全然可能なので、興味のある方は全てを解説したロードマップ記事をご覧ください。