台湾で飲む豆漿(豆乳)の9割が遺伝子組み換え大豆って知ってた?
こんにちは、台湾の食品系大学院に通う耕平(@HEYinTW)です。
さて、3回目となりました煽りシリーズですけども(シリーズ化してたっけ?)、今回は台湾の豆漿(豆乳)についてのお話になります。
本題はタイトル通りです。
「台湾で飲む豆漿の9割が遺伝子組み換え大豆を使用してるってホント!?」と言うテーマでお話ししていきます。
早速ですが、結論を言います。
ホント!
だからと言って、毛嫌いしないでください。全く他人事じゃないですからね。煽ってますがあとでちゃんと回収します。それでは少しずつお話していきます。
台湾の大豆輸入事情
まずは、台湾の大豆がどこから来ているのかと言うお話から。大部分はアメリカやブラジルからの輸入に頼っています。台湾は毎年230t以上の大豆を輸入していて、その9割以上が遺伝子組み換え大豆です。
言い換えると、遺伝子組み換え大豆を作ってるところから輸入してるから大部分が遺伝子組み換えなんです。
食藥署區管中心專委によると、輸入された大豆の97%が遺伝子組み換えだと言うことなので約3%が遺伝子組み換えでない大豆だと言うことになります。
大豆の大部分は家畜などの飼料や油の製造に回されるため、正確には約6割の大豆が、実際に目で見て「大豆製品だな」と認識できる食品に使用されているということです。この話を聞いて、「え?ってことは間接的に遺伝子組み換え大豆を食べてるって事!?」と思った方はとても察しが良いですね。
その話も後ほどしていきます。
遺伝子組み換え大豆使用の豆漿(豆乳)
では本題である豆乳の話に入ります。
台湾の朝ごはんの店や、ドリンクショップ・スーパーでも売られている豆乳(製品)。甘さと濃厚さが美味しいですよね。もちろん無糖も健康的で美味しい。
実はこの豆乳、ほとんど遺伝子組み換え大豆が使用されているんです。
こんな声が聞こえてきます。
「いやいや、遺伝子組み換えのものは絶対食べないようにしてるよ。ほら、ここにちゃんと『非基因改造』って書いてあるでしょ!!」※非基因改造=遺伝子組み換えでない
その通り。
その豆乳にはおそらく、遺伝子組み換えの大豆はほとんど使われていないでしょう。ほとんど。
安心してください。
朝ごはんのお店に売っている豆漿はほとんど遺伝子組み換え大豆が使われていると思っていただいて構いません。
なぜ遺伝子組み換え大豆を使うのか
大豆に限らず、遺伝子組み換えの食材を使う理由はなんでしょうか?もちろんメリットがたくさんあるからです。語りきれないので大きくまとめます。
・コスパが良いから
・健康への影響が分かりにくいから
コスパが良いから
「コスパが良い」とはつまりどう言うことかと言うと
遺伝子組み換えによって
- 病気に強く、環境の変化に強い作物ができれば
- 管理のための人手や農薬の使用量を削減でき
遺伝子組み換えによって
- 単収(1本から収穫できる量)を増やすことができれば
- 生産量が上がり、輸出国の所得が増え
- コストは下がり、Win-Winの経済になる
と言うことです。
世界の人口増加による食糧問題も懸念されているので、効率的に多量の作物が収穫できると言うのはこれ以上ないメリットなんです。
健康への影響が分かりにくいから
「遺伝子組み換えは悪」だとなんとなく思っていますよね。聞いたことはあるかと思いますが、それは「食べると健康に良くない影響を与える」と思っているからです。
研究者の間でも賛否両論ある話で、摂取するとアレルギー症状を引き起こしたりするのではないかとも言われています。
【マウスやラットを使った実験】
実際にラットに遺伝子組み換え食品を食べさせて経過を観察したり、その子ラットの死亡率や発育を調査した論文には「遺伝子組み換え食品を食べさせたラットに悪影響があった」と記されているものもありますが、その信憑性は疑わしいものが多く、むしろ安全性を試験した報告の方が多いです。多くの専門家による査読を得たものなので信憑性は高いものだそうです。
まぁ、こうやって問題なく流通している現状を見ると「人体に悪影響がある」と思えないのは僕だけでしょうか…。食べ続けたら50年後に影響が出る、が結論だったとしてもまだ誰も証明できませんからね。
それでは最後に我々はもう遺伝子組み換えから逃れられないと言うお話をしていきます。
日本でも遺伝子組み換え大豆は使われている
「台湾の豆乳はもう飲みたくないなぁ。その点日本は安全で…」
安心してください(2回目)
実は日本は、トップクラスの遺伝子組み換え大豆消費国なんです。
「え!?スーパーで売ってる豆乳のほとんどは裏面の成分表示の欄に『大豆(遺伝子組み換えでない)』って書いてあるよ!!」
デジャブですね。
もちろん正しいですが、これには表示制度が緩いと言うところがあります。
- 表示義務がないもの
- 重量順で上位3品目
- 意図せざる混入
この辺の詳しい説明はわかりやすい説明がありましたのでそちらをご覧ください。
→このままだと「遺伝子組換えでない」の表示がなくなる? なぜか分かりにくい、日本の遺伝子組換え表示 KOKOCARA
ここでは簡単に説明します。
表示義務がないもの
大豆を使った醤油や豆乳などの製品パッケージの成分表示に『遺伝子組み換えでない』と言う表示を見たことがある方は多いと思います。では逆に、『遺伝子組み換えだよ』と言う表示を見たことがありますか?
遺伝子組み換えのものを使用している商品には「遺伝子組み換え」と表示しろと義務付けられているんですが、醤油や大豆由来の油には表示の義務はないんです。
そして家畜のエサ。
台湾でも日本でも家畜に与えるエサとしての大豆は遺伝子組み換え大豆ばかり。それを食べた牛や豚を我々は普通に食べてるけどそれはどうなの?って言うお話です。もちろん表示義務はないので、知る術はありません。
つまり、いつも料理で使ってる油も肉もほぼ全部遺伝子組み換え品(が根源にある食品)なので間接的に遺伝子組み換え大豆を摂っているのはほぼ確実です。
重量順で上位3品目
ちょっとトリッキーな制度なんですが、『遺伝子組み換えだよ』と表示しなければいけないものは
- 重量順で上位3品目
かつ
- 重量に占める割合が5%以上
のものと決められています。つまり、5%以上含まれておらず、重量が4番目以降であったら表示しなくていい!んです。(みんなの心の声:マジ~!?)
意図せざる混入
遺伝子組み換えでない大豆を使って製品を作るとしても、その作物の流通や仕分け・製造の過程で「意図せずに」遺伝子組み換えの大豆が混入しちゃうこと、ありますよね。
まあこれは、絶対あります。
そこで「しょうがないから5%までは『意図せざる混入』を許してやるよ」と日本が定めているのでスーパーに流通している大豆製品で「遺伝子組み換えでない」の表示があっても、組み換えられた大豆が混入しちゃったてへぺろと言うことが大いにあるってことなんですね~。
ちなみに、台湾でも同じです。長くなっちゃいましたが今回のテーマは「台湾の豆乳」でしたね笑
結論
派生して日本の遺伝子組み換え大豆の話もしちゃいましたが、要は「台湾の豆乳の9割が遺伝子組み換えだったとしても毛嫌いするな」と言いたかったからです。
日本で豆乳を購入するときは、パッケージ付きなので「成分表示」を見ることができるので少なくとも「選択」することができます。台湾では外で買うことも多く、現地でも取り上げられる話題なので、こうやってわざわざ記事にしました。
まとめると、
- 輸入される9割以上が遺伝子組み換え大豆であり
- 台湾で飲む豆漿(豆乳)のほとんども遺伝子組み換え品。
とはいえ
- 日本の大豆製品もほとんどが遺伝子組み換えなので
- 遺伝子組み換えの大豆製品から逃れることはできない。
と言うのが今回の結論になります。
健康への影響に関しては安全性の実証は多くされているので、美味しければ飲めばいいんです。僕も大好きです、台湾の豆乳。