
こんにちは、大学院で食品科学を専攻していた耕平(@HEYinTW)です。
「ラーティアオ(辣条)は体に悪い」「食べて死亡した子どもがいる」といった話を見て、不安になって調べている方も多いと思います。先に結論をまとめておきます。
- たまに少量食べる程度なら、過度に怖がる必要はありません
- ただし塩分・油分が多いスナックなので、毎日・大量に食べるのは避けたほうがいいです
- 「死亡」「発がん性」の噂は、辣条が原因だと確認できる根拠は見つかりませんでした
- 日本では、使用が認められていない添加物(TBHQ)が見つかって回収された商品が実際にあります
この記事では、ネットで言われている危険性を「事実」と「噂・誇張」に分けて、出典付きで整理します。
ラーティアオ(辣条)とは

ラーティアオ(辣条)は、中国で広く食べられている辛いスナックです。繁体字では「辣條」と書き、「大面筋」という名前で売られている商品もあります。
「辣=辛い」「条=細長い」の名前どおり、小麦粉の生地を細長く成形し、油・唐辛子・花椒(ホァジャオ)・砂糖・塩などで味付けしたものです。ジャーキーのような感覚で食べられ、中国では子どものおやつにも、大人の酒のつまみにもなっています。
ラーティアオ(辣条)の味は?

「クセになる味」と言われることが多いですが、僕が実際に食べてみた感想はこうです。
- クチャっとしなる食感
- 噛むほど溢れる辛味と旨味
- 程よい塩味でいくらでもいける
まぁ正直、美味しいです。食べたことのない人は、今まで出会ったことのない食感に驚くと思います。
でも「いくらでもいける」味だからこそ、気をつけたいポイントがあります。
ラーティアオは体に悪い?危険と言われる理由を検証
ネットでは「便秘になる」「発がん性がある」「肝臓に悪い」「子どもの発育に影響する」など、いろいろな危険性が言われています。それぞれに根拠があるのかを整理しました。
| 言われていること | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 塩分・油分が多い | 事実 | 生地に油と調味料をたっぷり絡めた食品。中国の業界基準でも「減塩・減油」が課題になっている |
| 添加物が多い | 一部事実 | 中国の基準内で使われているが、国によって使える添加物が違う。日本では使えないTBHQで回収例あり |
| 辛さで胃腸に負担がかかる | 個人差あり | 唐辛子・花椒の刺激で、胃腸が弱い人はお腹を壊すことがある |
| 子どもによくない | 注意が必要 | 塩分が多く辛い食品なので、子どもの「毎日のおやつ」には向かない |
| 発がん性がある | 根拠不足 | 辣条そのものに発がん性があるという公的な評価は見つからない |
| 食べると死亡する | 根拠不足 | 広まった事例は、辣条が原因だと確認されていない(後述) |
塩分と油分が多い
一番はっきりしているリスクはここです。辣条は味の濃さが魅力のスナックなので、どうしても塩分と油分が多くなります。
日本の食塩摂取の目標量は、成人男性で1日7.5g未満、女性で6.5g未満です(農林水産省)。1袋あたりの量は商品によって違うので、パッケージの栄養成分表示で「食塩相当量」を確認するのが確実です。
添加物は「量」より「国ごとの基準の違い」が本題
この記事の旧版では「ほぼ添加物」と書いていましたが、これは言い過ぎでした。中国では2019年から、辣条の添加物は国の基準(GB 2760)の範囲と上限を守ることが求められています。
むしろ問題になるのは、中国では使ってよい添加物が、日本では使えないケースです。日本で起きた回収は、まさにこのパターンでした(後述)。
辛味による胃腸への刺激
唐辛子や花椒の辛味は、量を食べると胃腸を刺激します。辛いものに弱い人、胃腸が弱い人は、少量から試すのがおすすめです。

結局、食べても大丈夫なの?
たまに少し食べる程度なら、ポテトチップスなど他のスナック菓子と同じように考えて大丈夫だと思います。「毎日」「1袋まるごと」が習慣になると、塩分の摂りすぎにつながる、というのが現実的なリスクです。
「ラーティアオで死亡」の噂は本当?
「ラーティアオ 死亡」で検索すると、中国で子どもが辣条を食べたあとに亡くなった、という話が出てきます。この記事の旧版でも紹介していましたが、改めて調べ直しました。
深圳の7歳児の話(2018年)
「深圳に住む7歳くらいの子ども3人が辣条を食べたあと下痢や吐き気を起こし、1人が死亡した」という話です(当時の転載記事:7歲兒童吃辣條後不治身亡)。中国の転載サイトで広まったものですが、辣条が死因だと確認した当局の発表や医学的な調査結果は、僕が調べた範囲では見つかりませんでした。
同じ2018年3月には、山西省呂梁市で「辣条を食べた男の子2人のうち1人が死亡」と報じられた件もあります。ただ、このときも地元政府は「子どもたちが食べたものは複雑で、死因は関係部門が調査中」とコメントしていて、辣条が原因とは発表していません(澎湃新聞)。こうした情報だけで「辣条で死亡した」とは言えません。
「辣条15袋で昏睡」はデマと否定されている
2018年1月、湖南省の15歳の男の子が「辣条を15袋食べて昏睡状態になった」という話も広まりました。でも実際には、男の子には糖尿病の持病があり、食べたのは4〜5袋で、診断は糖尿病ケトアシドーシスでした。医師が方言を聞き間違えて「14、5袋」と記録したことが、噂が大きくなった原因とされています(羊城派:2018年食品デマまとめ)。
クローン病になった女の子の話(2017年)
2017年11月、四川省綿陽市の11歳の女の子が、毎日2袋以上の辣条を食べていて、腹痛や激しい下痢、体重減少の末にクローン病と診断されたと報じられました(新浪新聞:11岁女孩爱吃辣条患上罕见“克罗恩病”)。診察した医師は、辣条は衛生面に問題があり、胃腸を刺激する調味料も多いとコメントしています。
でもその後、中国新聞網は「辣条は原因ではなく、誘因にすぎない」という見出しでこの件を報じています(中国新聞網)。クローン病はもともと原因がはっきりわかっていない病気で、特定の食品1つが原因とは言えません。
まとめると、「辣条を食べて死亡した」と言い切れる確かな事例は見つかりませんでした。ただ、どんなスナックでも食べ過ぎが体に良くないのは同じです。
日本では禁止添加物「TBHQ」で回収された事例がある
日本で辣条が実際に問題になったのは、健康被害の話ではなく添加物の基準違反です。
| 時期 | 商品 | 内容 |
|---|---|---|
| 2024年3月 | 辣條(106g) | 指定外添加物のTBHQが0.010g/kg検出。ドン・キホーテで全国販売され、7,620個が回収・返金の対象に(届出:東永商事) |
| 2024年10月(報道) | 衛龍「親嘴焼」 | TBHQが0.005g/kg検出され、約43kgが回収 |
TBHQとは?
TBHQ(ターシャリーブチルヒドロキノン)は、油の酸化を防ぐための酸化防止剤です。中国では国の基準で使用が認められていますが、日本では食品添加物として指定されておらず、使うことができません。
2024年10月の回収のとき、メーカーの衛龍は「国ごとに基準が違う。製品は中国の基準に適合している」とコメントしています。つまり「中国では合法、日本では違反」という状態だったわけです。
個人輸入や海外通販で買う場合は、日本の基準に合っていない商品もありえる、と覚えておくといいと思います。
中国でも規制が進んでいる
辣条は中国でも長く「ジャンクフードの代表」として見られてきましたが、ここ数年で制度はかなり整ってきました。
- 2019年12月:国家市場監督管理総局が、辣条を「調味面制品」として管理すると公告。添加物はGB 2760の範囲・上限を守ること、誤解を招く名称の禁止、減塩・減油・減糖の推奨、抜き取り検査の強化などを定めた(石家荘市市場監督管理局)
- 2019年:中国の「食品安全と健康の10大ホットワード」に「辣条」が選ばれる(人民政協網)
- 2022年10月:業界基準「調味面制品」(QB/T 5729-2022)が施行。業界側の発表では、使う添加物の種類が70%以上減り、塩分は17.7%、油分は10%下がったとされる(新京報)
ただし、どの商品もこの基準どおりに作られているかは別の話です。日本で買う場合は、次の注意点を参考にしてください。
ラーティアオを食べるときの注意点
- 1袋を一気に食べきらず、少しずつ楽しむ
- 栄養成分表示で「食塩相当量」を確認する
- 日本語の表示ラベルが付いた、日本で正規に販売されている商品を選ぶ
- 小さい子どもの日常のおやつにはしない
- 辛いものが苦手な人、胃腸が弱い人は少量から試す
- 気になる商品は、消費者庁のリコール情報サイトなどで回収情報を確認する
日本で購入できるラーティアオ(辣条)
ここまで読んで「少しだけ試してみたい」という方向けに、通販で買える商品を載せておきます。購入前に、上で書いた表示の確認だけはしてくださいね。
美味しすぎてやめられなくなっても、食べ過ぎにだけは注意しましょう笑
ラーティアオ(辣条)に関するよくある質問
A. 辣条そのものに発がん性があるという公的な評価は見つかりませんでした。日本での回収は「日本で使ってはいけない添加物(TBHQ)が入っていた」という基準違反によるものです。
A. 塩分が多く辛い食品なので、小さい子どものおやつにはおすすめしません。食べさせる場合は、少量にとどめてください。
A. 「何グラムまでなら安全」という公的な目安はありません。パッケージの食塩相当量を見て、1日の塩分目標量(成人男性7.5g未満、女性6.5g未満)の中に収まるかで考えるのが現実的です。
A. 日本で正規に輸入・販売されている商品は、日本の食品衛生法に沿って輸入されています。ただ、2024年3月にTBHQで回収された商品もドン・キホーテで販売されていたものでした。気になる場合は、リコール情報を確認してから購入すると安心です。
ラーティアオ(辣条)は体に悪い?|まとめ
- 味はクセになる中国の定番スナック
- 塩分・油分が多いので、食べ過ぎには注意
- 「死亡」「発がん性」の噂は、確かな根拠が見つからない
- 日本では、禁止添加物TBHQによる回収事例がある(国による基準の違い)
- 買うなら日本の正規販売品を、少量で
「体に悪い」と一言で片付けるより、「塩分の多いスナックを、基準の違う国から買っている」と理解しておくのが正確だと思います。
台湾・中華圏の食品にまつわるウワサは、こちらでもまとめています。

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