台湾の大学卒業後、現地で就活するために必要な「職探しビザ」の話
こんにちは、台湾に2度留学経験のある耕平(@HEYinTW)です。
台湾の大学/大学院を卒業後、すぐに帰らず現地に残りたい方は結構たくさんいると思います。しかし、学生ビザはあくまで「学生」の身分であることが前提なので卒業したら在留資格はなくなると考えてください。
では、台湾に残るにはどうすれば良いか?
この記事はこんな方に役に立つと思います。
・台湾の大学を卒業後、現地に残って就活したい方
・卒業後も現地に残ってゆっくりしたい方
結論を先に言うと「学生ビザ」を「就活ビザ」に変更することで最大1年間の滞在が可能となります。
卒業後「学生ビザ」は違法滞在
まず覚えていて欲しいのは、居留証には身分の制限があるということです。
学生ビザで入国しているなら留学先の大学の名前が刻まれ、卒業すると同時に身分が一致しなくなってしまうので居留証の期限が来ていなくても直ちに帰国、もしくは延長する必要があります。
ここでいう居留証の「延長」とは理由をつけて身分を変更することを言います。
居留ビザ(居留証)から職探しビザ(居留証)への変更方法
それでは台湾の大学を卒業後、まだ台湾に残ってゆっくりしたい、もしくは就活したいと考えている場合の「就活/職探しビザ」への身分の変更方法についてお教えします。
ビザ…入国時に必要な資格。入国「目的」を記した査証。
居留証…在留する許可を記した資格。学校や仕事で滞在する場合は居留証の取得が必要。卒業後も在留する場合ビザは不要。 ※つまり、厳密には卒業後「ビザ」ではなく「居留証」を変更するということになりますが、この記事では特に区別せず「〇〇ビザ」「〇〇居留証」と表記します。
正確には「就活ビザ/職探しビザ」というものはなく「就活を理由に居留資格を延長する」といった意味合いでビザをもらうということになります。変更手続きには2週間ほどかかるので卒業の前から頭に入れておくといいでしょう。
- 期限の確認
- 必要書類を持って移民署へ行く
- 延長期間の台湾健康保険(健保)について
- 延長期間のアルバイトについて
- 就活について
1. 期限の確認
今持っている居留証を確認してください。
記されている期限が「学生」の身分で滞在可能な日時の期限です。基本的には卒業後、この期間内までに速やかに帰国しなければなりません。
期限を超えて滞在してしまうと移民法85条第4款により2,000元以上10,000元以下の罰金が課され、直ちに帰国を命じられます。
修士/博士課程の方は卒業時期が一定ではないので、卒論提出・離校手続きしていたら期限間近だったということも少なくないので必ず確認しておいてください。
2. 必要書類を持って移民署に行く
さて、帰国せず残りたい場合は延長手続きが必要です。延長手続きは難しくありませんが、少しめんどくさいです。
「台湾で就活したい!」と思った場合、居留証の延長(変更)手続きを卒業証書を受け取ってから15日以内に必ず行いましょう。
必要書類を持って最寄りの移民署に行きます。
・パスポート正本/コピー 各x1
・中国語表記の卒業証書正本/コピー 各x1
・外國人居停留案件申請表 x1
・証明写真
・「職探しをするため」と記載したメモ書き
・住屋契約書正本/コピー 各x1
(居留証申請時と住所が違う場合/住所が変わって2週間以内)
・1,000元
「外國人居停留案件申請表」とは延長手続きをするための申請書のことで、サイトからダウンロードもしくは移民署で受け取って書くこともできます。(現地友達の住所や電話番号が必要です)
「職探しをするためと記載したメモ書き」を書く理由は卒業後に台湾に残る理由を記さなければいけないからです。「我想找工作」と適当な紙に書けばいいだけです。当日書けば問題ないですが、これがいわゆる『就活ビザ』に変更するという概念になります。
「住屋契約書」とは大家さんと部屋を借りる際に必ず書かなければならない「契約書」のことで、台湾に居住しているという証明になります。自分と大家さんのサインが載っているページのコピーも取りましょう。
また、- 雅房(ルームメイトが契約している部屋)に住んでいる場合
- 親戚・友達の家に居候させてもらっている場合
などは別途「居住同意書」を書いてもらう必要があります。その家と契約を結んでいる本人のサインと同意の主旨を記し、その契約を証明する書類のコピー、そして自分のサインが必要となります。
意外と知らない方も多いですが、外国人が居留期間中に滞在住所が変わった場合15日以内に住所変更を申し出る必要があります。
よって今まで住所を変更したのに変更を申し出なかった方は、住屋契約書が必要になる可能性が高いです。窓口の人次第なのでなんとも言えません。
ひとつでも揃っていないとそのまま家に返され無駄足になってしまうので、前もって準備しておきましょう。延長(変更)には申請からおよそ2週間くらいかかります。
3. 延長期間の台湾健康保険(健保)について
さて、台湾健康保険(健保)についても触れておく必要があります。
学生ビザで居留していた期間は、学校という機関に身分を保証され健康保険に加入できました。卒業後も2ヶ月間くらいは代行してくれる学校もあるみたいですが、基本的には自分で健保署や區公所に出向き保険代を払う必要があります。
しかしながらこの手続きは、卒業で失効した学生居留資格(居留証)では行うことができません。「就活ビザ」に切り替えてからようやく「健保」に加入が可能になります。
健保に加入していないと、病院で結構なお金が取られます。また仕事を探し終えて正式に働くことになった後、保険未加入期間の分も請求され、結局支払う羽目になるのできちんと加入しておきましょう。
4. 延長期間のアルバイトについて
延長は1回目で6ヶ月、最大で2回、合計1年間可能です。
その間の身分はあくまで「就活目的」なのでアルバイトやお金を受け取る行為は法律で禁止されています。この期間に限らず、学生ビザであっても「工作許可證」を申請せずにアルバイト等を行なった場合は30,000元~150,000元の罰金および3年間台湾での就労が禁止されるという重た~い罪が待っています。
くれぐれも違反しないように!しましょう。
5. 就活について
さて、就活ビザによって心置き無く台湾に滞在しながら就活ができるわけですが、就職活動自体は学生の身分(学生ビザ)でも出来ます。 学生時代にすでに現地企業からオファーをもらって、そこで働くことになった場合は「就活ビザ」ではなくそのまま「就労ビザ(工作居留證)」に変更することが出来ます。 しかし、会社によって対応に差があるため外国人の就労条件や申請方法をよく分かっていない会社の場合、手続きに時間がかかったりしてあれこれしているうちに学生ビザ居留証の期限が切れてしまう、なんてことも普通に有り得ます。 そんな時は会社の担当に事情を話し「学生ビザ」を1度「就活ビザ」に変更しなければならないという趣旨を伝えましょう。個人の番号(統一證號/ROC No.)は変わらないので、会社側は学生ビザ居留証コピーがあれば「就労ビザ」を申請することが出来ます。 この場合「学生ビザ」→「就活ビザ」→「就労ビザ」と結局2ステップ踏む羽目になりますが、ルールなので仕方がないです。下記記事でも触れています。台湾の大学卒業後、現地で就活するために必要な「職探しビザ」の話まとめ
以上が僕が実際に手続きした内容+αなんですが、なかなか見つけられない情報だったので経験をシェアすることにしました。 台湾の大学を卒業後、残って働く人は1/10くらいな気がします…体感ですが。同じ境遇の方に届くと嬉しいです。
僕が実際に行った台湾現地での就活エピソードとお役立ち情報も載せていますので興味のある方はぜひご覧ください。