台湾で卵の生食はできる?在住7年の食品科学出身者が教える安全な食べ方

台湾に住み始めたらなかなかお目にかかれない、生で食べれる卵。

TKGとかすき焼きとか食べたい…
日本にいた頃は当たり前のように食べていた卵かけご飯ですが、台湾のスーパーで買った普通の卵は生食しないほうが良いと、現地の誰もが言います。
結論からお伝えすると、台湾の一般的な卵を生で食べるのは絶対にやめたほうがいいです。
ただ、どうしても卵かけご飯が食べたいという方も安心してください。ここ数年で、台湾でも安全に生で食べられる卵が手に入るようになり、お店で楽しめる場所も増えてきました。
この記事では、台湾在住7年目で大学院で食品科学を専攻していた僕が、実際に養鶏場で見聞きした知見と、生食に向かない理由、さらには万が一お腹を壊してしまったときの対処法まで詳しく解説します。
- 台湾の普通の卵を生で食べてはいけない理由
- 台湾で安全に卵かけご飯を食べるための生食対応卵の買い方
- 生卵が食べられる台湾のおすすめレストラン
- 万が一、台湾で生卵にあたってしまったときの対処法
結論:台湾の普通の卵は生で食べたらダメな理由

なぜ台湾の一般的な卵は生で食べてはいけないのでしょうか。
結論から言うと、一番のリスクはサルモネラ菌による食中毒です。
台湾で流通している普通の卵は、そもそも生で食べることを前提に管理されていません。そのため、卵の殻だけでなく、中身にまで菌が入り込んでいる可能性があります。
殻をきれいに洗っても防げない理由
「殻をきれいに水洗いしたり、アルコールスプレーをかければ生で食べられる?」と考える方がいるかもしれません。
残念ながら、それでも危険です。サルモネラ菌の汚染ルートには次の2つがあるからです。
- 水平感染:卵が産み落とされるときに、殻の表面に菌がくっついてしまうこと
- 垂直感染:鶏自体がサルモネラ菌を持っていて、卵が体内で作られる段階で卵黄や卵白の中に菌が入り込んでしまうこと
殻の表面をいくら綺麗に洗っても、防げるのは殻の表面の汚れ(水平感染)だけです。卵の内部に入り込んでいる菌(垂直感染)は、外側からどれだけ洗っても取り除くことはできません。
そのため、生食を前提にしていない台湾の普通の卵を安全に食べるには、中までしっかりと火を通さないといけないのです。
台湾の市場・スーパーで売られている卵とは
台湾に住む方なら、スーパーか伝統的な小店・市場のどちらかで卵を買うと思います。
昔ながらの伝統市場の方が安い場合が多いですが、そこで売られている卵は特に、洗浄がそこまで徹底されないままカゴ山積みで販売されているので、調理前に洗ってから殻を割る人が多いです。
スーパーで常温パック売りされている卵は、見た目は日本のものと遜色なく、比較的綺麗ですがこれも生食には向いていません。
日本の卵はなぜ生で食べられるのか
では、なぜ日本の卵は生で食べても問題ないのでしょうか?
日本で卵の生食ができるのは、養鶏場・農場から出荷されてお店に並ぶまでのプロセスで、徹底的な生食向けの安全対策が行われているからです。
日本では主に以下のような管理が行われています。
- 鶏にサルモネラワクチンを接種して、卵の内部に菌が入るのを防ぐ
- GPセンターと呼ばれる専門の施設で、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒液を使い、殻の表面を徹底的に洗浄・殺菌する
- 紫外線による殺菌や、ヒビが入った卵を検知する機械などを通して厳選する
- 出荷から販売まで、一貫して10度以下の冷蔵状態で流通させる(冷蔵販売のもの)
日本の卵が生食できるのは、こうした徹底した衛生管理のおかげです。生食が一般的ではない台湾の一般的な卵は、こうしたプロセスを通していないため、日本と同じ感覚で食べるのは控える必要があります。
台湾で安全に卵かけご飯(TKG)を食べる方法
それでも、どうしても台湾で卵かけご飯が食べたいときはどうすればいいのでしょうか。
お答えしましょう。パッケージに「可生食」や「生食級」と明記されている、生食専用の卵を選ぶことです。
ここ数年、台湾では高クオリティの日本食を提供するお店が増え、生食用の卵がより一般的になりました。よって日本の技術を取り入れた生食用卵がスーパーでも手軽に買えるようになりました。
代表的な生食用卵のブランド
現在、台湾のスーパーでよく見かける代表的な生食用の卵ブランドを紹介します。
上品語鮮蛋(大成集團)
台湾の超大手食品メーカーである大成グループが展開しているブランドです。昭和産業などの日本企業と技術提携を行い、日本と同等の厳しい衛生管理体制で作られています。赤いパッケージや「可生食」の文字が目印です。
幸せ鮮蛋(大武山牧場)
こちらは大武山牧場が、日本のTAMAGO&COMPANY(旧・伊勢食品)の技術を取り入れて生産しているブランドです。こちらも生食級の安全基準をクリアしています。
筆者が実際に買っているスーパーと選び方
筆者は普段、以下のスーパーで生食用の卵を購入しています。
全聯福利中心(PX Mart)
ご存知の方がほとんどだと思いますが、台湾で最も店舗数が多いスーパーです。身近にあるので一番よく利用します。大型の店舗に行くと、冷蔵の卵コーナーに「可生食」と書かれた卵が並んでいます。
家樂福/樂家康(カルフール)
大型量販店なので品揃えが非常に安定しています。大成のものと大武山のものの両方が置いてあることが多く、消費期限を比較して新鮮な方を選べるのがメリットです。
ロピア(LOPIA)やドン・キホーテ(DON DON DONKI)
日系のスーパーも確実です。台北や台中などで展開している日系スーパーや百貨店地下の高級スーパーでは、日本クオリティの食材として生食用卵がほぼ確実に手に入ります。
値段の目安
普通の卵が10個入りで50〜80元程度なのに対し、生食用の卵は10個入りで100〜150元(日本円で約450〜700円)ほどします。
少し高く感じるかもしれませんが、台湾にいながら安全に卵かけご飯を食べられる安心料と考えれば、それくらいの価値があると感じています。
買うとき・食べるときの注意点
生食用の卵を買うときは、以下の点に気をつけています。
- 必ず冷蔵ケースに入っているものを買う(台湾では冷蔵必須)
- 消費期限(有效日期)が一番先のものを選ぶ
- 買ったらすぐ帰宅、すぐに冷蔵庫に入れる
- 賞味期限が近づいてきたら、生食は控える
- 殻に少しでもヒビが入っているものは加熱する
どんなに管理された生食用卵でも、持ち歩き時の温度変化や家庭での保管状態によっては菌が増えるリスクがあります。なるべく早く食べるのが一番の安全策です。
台湾で生卵・TKGが食べられるおすすめのお店
外食レストランでも、日本食が美味しいお店が増えてきましたよね。安全な生卵を楽しめるお店を紹介します。
挽肉と米(台北・華山)
日本で大人気のハンバーグ専門店「挽肉と米」の台北店です。ここでは炭火で焼いた絶品ハンバーグと一緒に、セットで生卵が1個無料でついてきます。
人気店なので予約を取るのが大変ですが、美味しいハンバーグと安全な生卵を同時に楽しめる場所として非常におすすめです。
肉肉大米(台北・信義など)
ハンバーグを中心とした日本食が食べれるレストランです。
生卵を絡めたハンバーグが絶品で、ちょっとしたお祝い事にもぴったりなお店です。
万が一、台湾で卵にあたってしまったときの対処法
どれだけ気をつけていても、体調が優れなかったり、運悪くサルモネラ菌に感染してお腹を壊してしまうことがあるかもしれません。その際の対処法をまとめました。
サルモネラ菌の症状と特徴
生卵を食べてから半日〜2日ほど経ったあとに、以下のような症状が出た場合はサルモネラ感染症の可能性があります。
- 激しい腹痛(特に下痢を伴う痛み)
- 水のような下痢、あるいは血便
- 38度以上の発熱
- 吐き気や嘔吐
風邪とは全然違い、頭がくらくらしたりお腹の痛みが激しく、熱が出るのが特徴です。
どう行動するべきか
水分補給を徹底する
下痢や嘔吐が続くと脱水症状になりやすいので、こまめに水分を摂ってください。スーパーやコンビニで買えるスポーツドリンク(補水液)を常温で飲むのがおすすめです。
市販の下痢止めを安易に飲まない
下痢止めは絶対NGです。
下痢は菌を体外に出そうとする正常な防御反応です。自己判断で強い下痢止めを飲むのは避けましょう。
軽い食中毒の場合、1-2日で良くなります。
本当に辛い場合は、まずは医師の診察を受けるのが一番です。
台湾の病院の探し方と受診
言葉に不安がある場合は、日本語が通じるクリニックや、大きな総合病院の国際医療センターを利用すると安心です。
台北エリアで日本語が通じる代表的な病院
- 康聯診所(Healthconn Clinic):台北の中心部にあり、日本語での受診が可能。
- 台安病院(Taiwan Adventist Hospital):国際的な基準を満たした総合病院で、日本語を話せるスタッフや医師が在籍。
受診の際に使える便利な中国語表現
医師に症状を伝えるときに使える簡単な単語です。メモに書いて見せるだけでも伝わります。
- 「肚子痛(ウォードゥーズトン)」:お腹が痛い
- 「拉肚子(ラードゥーズ)」:下痢をしている
- 「發燒(ファーシャオ)」:熱がある
- 「想吐(シャントゥー)」:吐き気がある
- 「吃生蛋(チーシェンタン)」:生卵を食べた
特に「生卵を食べた」と伝えることは、お医者さんがサルモネラ菌を疑う大きな手がかりになるので必ず伝えてください。
まとめ:正しい知識を持って台湾で卵を楽しもう
台湾の卵事情を改めて整理します。
- 台湾の一般的な卵は生食NG
- 卵かけご飯を安全に食べるには「可生食」と書かれた生食用の卵をスーパーで購入
- 万が一のときは、すぐに病院で「生卵を食べた」と伝えて受診
10年前と比べると、台湾でも「可生食」の卵を簡単に見つけられるようになり、自宅で気軽に卵かけご飯を楽しめるようになりました。
安全で美味しい台湾の食生活を楽しんでくださいね。
