台湾人の「帰省する」文化
台湾人の「帰省する」文化
こんにちは、耕平です。
「台湾人って、よく実家帰るよな。」
そう思ったことがきっかけで、僕なりに考察してみました。
まぁ台湾在住の方ならおそらく察しがつくと思いますが...
台湾人がよく帰省するのは、文化的な要因が大きいと言う結論に達しましたのでシェアさせていただきます。
ここ数年、日本人の海外旅行先No.1をキープしているので知名度は十分、行ったことがある方も多いんではないでしょうか。
- 食べ物が美味しい
- 人が暖かい
- 景観が綺麗
そんなイメージを持っている方が多いと思います。
そんな台湾の文化が日本と似ていると言えど、ここは海外。僕らからすると驚いちゃうような文化の違いもたくさんあります。
今回は、日本と比較しながら台湾人の「家に帰る文化」について見聞きした情報などを交えて、僕の考えをまとめたいと思います。
台湾人はなぜ帰省するのか
大学生の長期休暇
僕の周りはほとんど大学生なので、今回の主な対象は大学生です。まずは日本と台湾の学校の簡単なスケジュールを示しておきます。
さて台湾では、長期休暇に入ると親元を離れ進学した学生が、ほとんど帰省します。我々海外勢は、大学で知り合った現地の友達がごっそり帰省していなくなるので、超絶暇になるわけです。
長期休暇に入るとなぜ帰省するのでしょうか。
【台湾の学生が長期休暇で帰省する理由】
- 寮暮らしの学生が一時退去する
- 同級生が地元に集まる
- バイトをしている学生が少ない
事実、主にこの3つが起因していると考えられます。
寮暮らしの学生が一時退去する
実家から通えない、他県の大学に通う学生は日本と同じく下宿部屋を借りなければいけません。
台湾人が部屋を借りる手段は大きく分けて3つです。
「寮に入る」
「アパートで一人暮らし」
「シェアハウスを数人で借りる」
寮はこの3つの中で圧倒的に家賃が安く、学校の管理下にあるということから親御さんたちの希望もあって多くの学生が希望します。
その結果、募集人数よりも多くの人が集まってしまうため抽選が行われるほどです。
学校によっては、一年生のうちは寮に入りなさいと言われるところもあるみたいです。その寮なんですが、夏休みや冬休みになると清掃や管理のために家に帰されることもあります。もちろん希望すればそのまま住むこともできますが、帰る人がいるなら自分も帰ろうとなるわけです。
寮は大体2~4人で同じ部屋をシェアするので、遊ぶ相手が長期間いなくなるならそりゃ帰りますよね。これはシェアハウスを数人で借りている人にも当てはまります。
同級生が地元に集まる
寮やシェアハウスに住んでいた学生が里帰りするということは、地方に散らばった中高の同級生が実家に帰ってくると言うことになりますよね。
なので、一人暮らしをしている人も彼らと集まるために帰る、という現象が起こります。
これが習慣化しているので、台湾の大学生の間では「普段は大学の連れと遊ぶ」「連休は中高の連れと遊ぶ」が暗黙の了解というか、棲み分けているようです。
バイトをしている学生が少ない
日本の大学生であれば、10人中8~9人が普段バイトをしていて、経験を積んだり遊ぶお金や生活資金をまかなっていますよね。
台湾では普段バイトをしてる学生の方がむしろ少数派で、10人中1人くらいのイメージです。その代わり、夏と冬の長期休みに地元で短期でバイトをしている学生はちらほら見かけます。
つまり台湾の大学生は日本のように、大学付近でバイトをしている大学生が長期間バイトを休むことが困難だという状況にない、ということです。
上記3つが長期期間中に台湾人が里帰りする主な理由だと考えます。
さて、次は違う視点から考察してみます。
「親孝行」の認識の違い
次に、日本人と台湾人の「親孝行」の在り方についての違いについて言及したいと思います。これはもちろん家族間、個人間の違いもありますが両国の文化の違いにも関係していると言えます。
日本で言う「親孝行」とは何でしょうか。いろんな考え方があると思いますが、一言で表すなら僕は「独立」だと思います。
日本には高校を卒業、18歳になったら一旦大人の仲間入り。成人式があるという文化も、日本独特です。たとえ近くで一人暮らしでも3ヶ月に1回、遠ければ1年に1回だという方も多いんじゃないでしょうか。
僕らの感覚で言うと普通だと思います。
「我が子の面倒は高校(大学)卒業まで。後は自分で働いて、親を頼ることなく立派に生きてくれ。たまには顔を見せに来いよ。」という考えが日本では一般的じゃ無いかなーと思います。
一方、台湾で言う「親孝行」とは何か。「一緒にいること」です。
「初任給でプレゼントする」「結婚する」「いい仕事に就く」など基本的な定義は日本と変わらないのですが、必ず「一緒にいること」が条件なのです。
日本と真逆ですね。
ずっと一緒にいると言うことではなく、離れていても連絡を頻繁に取り合ったり、時間ができたら実家に集まる。これが、彼らの習慣であり文化です。
実際、友達からもこう聞いたこともあります。
・月に1回は親に帰ってこいと言われる
・中高の友達が大切
・帰らないと近所に親不孝だと言う噂が広まる
・お金を親に渡さなければならない
遠くの大学に行く代わりに、毎月帰ってくることを条件にしている親御さんも多いみたいです。
お金の譲渡に関しては、日本もあるかもしれませんが台湾の方が多いと思いますね。「働き出したら、親にお金を渡す。」これが当たり前だと思っている人も今だに多いです。
親もこれを口実に「戻ってこい」と言いやすいと言うのもあるかもしれません。
そして、台湾の大学進学率はなんと約97%。義務教育の延長線のように捉えているそうです。
そういう背景からか、就職に関わらず結婚も大学進学がほぼ絶対条件です。そのため、明確に成人だという概念があまりなく、親からすれば子供はいつまでたっても子供だという考え方なんですね。(お酒は18歳から可能ですが笑)
家族間の結びつきが強い
これは「親孝行」と少し被ってしまいますが、台湾人の家族間の結びつきは非常に強いです。
基本的に家族が大好きで、家族内、そして親戚間の仲が良く内輪のイベントがよくあります。中秋節や正月はもちろん、定期的に親戚同士で集まって団欒します。
なので、親から帰ってこいと言われるからと言うよりも個人が帰りたいと言うケースも少なくありません。
遠くの大学に進学したり留学してる人で、毎日親との電話を欠かさないと言う人も本当に多いです。
距離が近い
ここに来てすんごく単純な理由ですが、距離が近いのも帰りやすい要因の一つです。
台湾は大体九州ほどの大きさで、北から南に1本新幹線が走っているので、離島から帰省する場合を除いて、遠くても3、4時間くらいで帰れてしまいます。たとえ離れていても、金曜の仕事が終わってその足で帰ることも全然可能なんですよね。
さて、最後に記憶に新しいあのイベントについてお話ししたいと思います。
台湾総統直接選挙
2020年1月11日(土)に、台湾の総統の直接選挙が行われました。
台湾では、自分の国を導く長を直接国民が投票で決めます。
詳しくは記しませんが、今回の選挙は主に高雄の市長「韓國瑜」と当時総統であった「蔡英文」の再任を賭けた選挙でした。
若者の支持は圧倒的に蔡英文氏。中国との距離の取り方で、2人の姿勢がまるで違うので今後の台湾に大きく関わる大切な選挙でした。国民一人一人が、これを重く受け止め選挙に出向く人が多かったのです。
投票率は74.9%!!
日本は50%を切るので、台湾人の政治に対する意識が伺えます。
はい、話が逸れてしまいましたが、何が言いたいかと言うとこの選挙に合わせて各国に散らばった台湾人が一斉に帰国した事です。
僕の知り合いは半年も前に飛行機を予約していました。
国内でも、投票のために帰る学生に対して交通費を補助する、投票所までのシェアバイクを用意するなど、投票することが国の一大イベントであることが分かります。
当日は春節の休みでもなんでもなく、ただの土曜日だったにも関わらず、自国の未来を案ずる台湾人はわざわざ会社や学校を休んで国外から帰郷しました。このことは多くのメディアでも取り上げられ、全世界に取り上げられました。
結果、蔡英文氏が過去最高票数を獲得、再選しこの際帰省した若者は見事報われたわけです。
この件はどちらかと言うと、「文化」より「政治的意識」が呼んだ帰省の例になりますが、故郷を愛する国民性であることは間違い無いでしょう。
彼らの愛国心・愛郷心には本当に感心します。もちろん帰国した彼らは、家族と素敵な時間を過ごしたことでしょう。
まとめ
ここまで読んでいただいた方は、台湾人が帰省する(したがる)所以がなんとなくわかっていただけたと思います。台湾人に限らず、他の華僑系の国も似たような文化だと思います。
上記をまとめると
- 大学生は長期休暇になると地元で集まる習慣がある
- 大学生は長期的なバイトをしている人は少なく、地元で短期的にする人が多い
- 台湾の親孝行の在り方は「一緒にいること」
- 家族・親戚間の結びつきが強い
- 「愛郷心」が強い
となります。以上が僕の導き出した結論です。
日本・台湾の「親孝行」「家族との結びつき」に関してどっちが正しいとか、どっちが良いとかは全くありません。ただ僕が面白いと感じた文化の差異をシェアしただけです。そして、上記の見解・考察は僕が感じ考えたたことであり、参考にした文献や根拠があるわけではありません。
需要があるかは分かりませんが、論文や研究のテーマ決めや内容のヒントとして使ってもらっても全然構いません笑
また、「違うんじゃね?」的な意見があれば是非シェアしてください!